恋華(れんげ)
「そっか。努力の“努”か♪」

「あぁ」

「あたし、もう一回、やってみる。あたし、女だし、又(また)、力んでみるよ」

「そうよ。女のマタに力だよ。“ウーマン”、“アゲイン”、“パワー”よ♪」

「ウーマン・アゲイン・パワーね~っ♪♪」


そこに父親はいなくても、まちがいなく家族の団欒があった――――



だけど、あとにして思うと……

その家族の団欒が、毎日ギリギリのところまで張り詰めていたあたしの緊張の糸を、ほんの一瞬だけど緩めさせたのかもしれない。

食事を終え2階の部屋に戻ったあたしはケータイに心当たりのないメールが届いているのに気が付いた。


誰からだろ…?


どうせタダの迷惑メールだろうと思いつつも、一応開いてみると、発信者は“システムマックスの疋田”となっていた。


“疋田”って、こないだの面接官の人かな?


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