恋華(れんげ)
メールの内容はこうだった。

『池田蓮華さま。
先日はせっかく当社の求人にご応募いただきましたが、ご希望に添えない結果となり誠に申し訳ございませんでした。
テストの成績も優秀でしたので、私から上司にもう一度考え直してもらえるよう進言したのですが、力及ばず、決定をくつがえすことはできませんでした。
本当に申し訳ございません。
もう新しい就職先は決まりましたか?』


「…?」

あたし、あのときのテスト、ほとんど解けなかったのになんで……?ってかタダの社交辞令か……。


履歴書にはメアドを明記していた。

だからアノ会社の人があたしのアドを知っていること自体は不思議じゃない。

不思議なのは、不採用通知を送りつけてから何日も経った今頃になって、なんでこんなメールを送ってきたのかってことだ。

同性ならともかく、異性のケータイ番号やアドレス、ましてや住所を教えてもらうことなんてフツーなら簡単にはできない。

だけど履歴書に書いて提出した以上、相手はいともたやすくそれらの情報をゲットすることができる。

その気になれば、いくらでも悪用ができちゃうワケだ。
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