恋華(れんげ)



「あァ…」

そういえば、いたいた、“博士モドキ”が……。


「思い出してくれた?」

「え?…はい」

「よかった♪」

「でも、どうして、あたしがこの店でピアノを弾いてることが分かったんですか?あたしは“ピアノを弾く仕事です”としかメールしなかったはずですけど…」

「たまたま飲みに行った店に蓮華さんがいたなんで、まさに運命の出逢いだよね♪ロマンスの神さまの巡り合わせってヤツかも♪」

「え…偶然なんですか…?」

「そうそう♪偶然、たまたまだよ♪」

「………」

ホントに偶然……?


「へぇ、履歴書に趣味はピアノって書いてたけど、蓮華さん、本当にピアノ弾くんだね♪へぇ…」

博士モドキは、背中の開いたドレスを着たあたしのことを、つま先から頭のてっぺんまでまじまじと見つめた。

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