恋華(れんげ)

だけど、もうそこには博士モドキの姿はなかった。

ホッ、と一安心♪


「もしもし」

「はァ~い。メール届いた?」

「ヘンなタイミングでメール送んないでっ」

「なによ、それ…!?」

「…って文句を言う相手が違うか……」

「なんかヤなことでもあった?」

「いや、別に…」

あたしはウソをついた。

「“いや、別に”って。そーいう可愛げのない態度だとオトコが寄ってこないよ」

「うるさいよー」

こっちはヘンな男に寄ってこられて迷惑してるんだ!


あたしはタバコをくわえ、「チャキン!」とジッポーのライターで火を点けようとするけど、何度やっても火が点かない。

このライターはあたしの初給料で買ったお気に入りだった。だけど、さすがに5年近くも使ってるから、もう寿命なのかも…。

< 95 / 201 >

この作品をシェア

pagetop