セーラー服と、スーツ



少女は駐車場まで一言も喋らず、俺の腕をしっかり掴み歩いた。


「…」


何て声を掛けてもいいかわからず、少女に引っ張られるまま付いて行った。





だから、病院に来たくなかったのかー…


…って、あれ?

どうして母親が病院にいるんだ?
ここで働いてー…




「…どうした?」


病院の外に出ると、少女が空を見上げた。

見上げた先を見ると、そこは空じゃなく病室だと思われる窓。

「お母さんが入院してるのか?」


と、少女に問いかけると首を振った。


「え…じゃあ…」

誰がー…


そう聞こうとしたが、俺からはやめた。

その時の少女の表情があまりにもー…



「…お姉ちゃんが、入院してる」



泣きそうで、今にも消えてしまいそうな雰囲気だったから。







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