いたいんですけど!【BL】
1.抱きしめられました
ボールがゴールネットを通過し、
勢いのあるままに床にバウンドする。
――同時に試合終了のホイッスルが鳴らされた。
その瞬間、応援席からの黄色い悲鳴。
彼女らの熱視線を一手に受けているのは、
最後に点を入れた、バスケ部の部長であり
一緒に保健委員をやっている、先輩だ。
チームメイトとハイタッチを交わしながら
ベンチ傍のこちらへとやってくる。
そして俺のすぐ前で止まると、
満面の笑みで抱きしめてきた。
それはもう、すごい力で。
「っ、痛いです、先輩!」
誇張では無く、マジで骨の軋む音が
聞こえてきそうなほど強く抱きしめられる
「あ、ごめん!」
そう言って、拘束をゆるめた。
未だにその中に収まってはいるけれど、
これはもう、いつもの事なので
周りは誰も気にしていない。
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