いたいんですけど!【BL】



……これは付き合い始めて
まだ日が浅い頃の事だっただろうか。


先輩の部屋に俺が遊びに行っていて、
それなりのいい雰囲気になった。


「ねえ、抱きつぶしてあげようか」

俺の背中に腕を回しつつ先輩が言った。

あの頃の彼は、
今よりも俺に対して強気だった。

現在は何と言うか……
ちょっとヘタレてる?


そんな訳で、ニヤニヤと笑う彼の腕の中。

俺はこう言った。


「圧死的な意味で、ですね。わかります」


それまでにも数度の呼吸困難を味わっていたから。
だけどちょっとした冗談のつもりだった。

なのに先輩は真に受けて、落ち込んだ。


それを慰めようと、
俺の方から仕掛けて、抱きしめられて。


そして初めて、
体調不良以外で気を失った。


それ以来、彼は自分の所為で
俺の身に危機が及ばないかと懸念している

……触れあわずには、
いられないようだけれど。

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