いたいんですけど!【BL】
あの頃の先輩のままだったら、
今頃、俺はどうにかなっているか、
2人はきっと別れているな。
だから、こうなっていいんだ。
過去を思い出して、
そんな事を思っていると
いまだ俯く彼の姿が目に入る。
……流石に、ちょっと可哀そうか。
回想中、放置だったし。
「先輩」
俺が呼ぶと、すぐに顔を上げた。
昔は大型の狼か何かだったけど、
今ではまるで忠犬のようだ。
「少しなら、いいですよ」
キスしても。
そう言うと、彼は身を乗り上げて
何度も聞き返してくる。
「本っ当に、いいんだね?」
「……軽くですよ」
「わかった!」
嬉しそうな先輩の顔が近づいてくる。