いたいんですけど!【BL】
あまりの力の強さに、
俺は言葉を発する事が出来ない。
なのでいつも先輩か、近くの誰かが
気づいてくれるのを待つだけだ。
「部長、落ちそう!放してあげて!」
あ、副部長、ありがとうございます。
指摘された先輩は、
また慌てて力を抜いて、
ブラックアウトしそうだった視界に、
クリアな映像が戻ってきた。
急激に入ってきた酸素に
ごほっとせき込む俺の背中を、
まわしたままだった先輩の手がさすってくれる。
「加減できなくて、ゴメンね」
申し訳なさそうに笑う先輩に、
俺も微笑み返し、祝いの言葉をかける。
「馴れてますし、大丈夫です。
それよりも、おめでとうございます。
……かっこよかったですよ」
言った途端に、再び上半身にすごい圧力。
「君は本当に、なんて可愛いんだっ!」
……今度こそ、視界は暗転する。
せめていつかは、
俺も抱きしめ返してみたい。