いたいんですけど!【BL】
「別にむせた訳じゃないですし、
いちいち背中さすろうとしなくていいですから」
「そうか。ごめんな?」
先輩は、最初の件以降も、
俺が咳をする度に、
いちいち手を伸ばしてきた。
……1回位は、成功してもいいだろうに
残念な事にそれらすべては、
俺の状態を悪化させるばかりだった。
「あの、気持ちは嬉しいですから」
落ち込まないでください。と、
項垂れる先輩に声をかける。
すると彼は一転してパァッと顔を輝かせた
「そうか、ありがとう!
君は本当に優し……」
俺を抱きしめようとした先輩の腕は、
空中をかき、何も収める事無く落ちた。
俺がとっさに避けたからだ。
「………………」
「………………」
沈黙が流れる。