いたいんですけど!【BL】
「……あの、別に先輩の事を
嫌いだとかいう訳じゃ無くてですね?
ただ、今抱きしめられるとちょっと
危ないなと思っただけですから」
危ないのはもちろん、俺の命が、だ。
「そ、そうだよな!」
嫌われてないよな、うん!と、
必死に納得しようと頑張っている姿は
一生懸命すぎて、何だか面白い。
そういや、本当に何のお構いもしていない
せめて飲み物位は持ってくるべきか?
そんな事を考えていると、
先輩が鞄から何かを取り出した。
「一応、これお見舞い。はい」
そう言って渡されたのは、
いつも先輩が飲んでいる
スポーツドリンクのペットボトルだった。
薄めの方が好きだと知られているから、
ミネラルウォーターも一緒に差し出される
水分補給はしっかり!との事だ。
自分用も持っているので、
飲み物はまあ、いいか。
「あとこれもね」
続いて出されたのは、ゼリーだ。
これは少し足を延ばしたコンビニにしか
売っていない、俺の好きな物だ。
「……わざわざ、すみません」
時間的に、部活後に買いに行ったとしたら
確実に走って行かなきゃ、
この時間にこうしているのは無理だろう。
疲れているだろうに、
これを買いに行ってくれたんだ……。