君が望んだ永遠



「母さん……?」


父さんを
連れ戻すんじゃないの?

すると、母さんは笑うんだ。


すごく悲しそうに。

傷ついたように。

何もかもに疲れたように。


「コウ……私にはコウを殺(あや)める程の覚悟なんてない…。だから―――」



ねぇ、母さん。
何を言ってるの…………?


早く行こうよ。

父さんのところへ。



「……っ。ごめんね、コウ。
…だから、先に逝くね」



ザシュ――――ッ。


どす黒く、
でも鮮明に聞こえた音。

理解するまでに
少し時間がかかった。





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