裸足のシンデレラ
「…なんで泣いてんの…。」

「だって…っ…。」

「泣きたいのは俺。お分かり?
好きな女に大嫌いって言われる気持ち、お前に分かる?」

「…それはっ…ごめんなさい…。」

「よしよし。素直で大変よろしい。」


ポンポンと優しく頭に触れる瞬の手。


「…バカにしてるでしょ…。」

「してねぇよ。素直で可愛いなって思ってる。」

「…バカ。」

「どっちがだよ。
で、なんで泣いてんの?」

「…分かんない。」

「正直に言えよ。今更誤魔化すな。」

「…嫌…だったから。すごく。」

「何が?」

「瞬が…ああいう顔をしてたのも、告白されてたのも…。全部。」

「はい?」

「…赤くなってたんだもん!!」

「はぁ…なるほどな。
つーかダメだ、俺。我慢の限界。」

「は…?」

「抱きしめるけど文句言うなよ。」


その言葉の3秒後には、あたしの身体はすっぽりと瞬に包まれていた。


< 103 / 107 >

この作品をシェア

pagetop