裸足のシンデレラ
「裸足のシンデレラぁ~?
シンデレラにはガラスの靴がちゃんとあるけど?」

「だから、シンデレラみてぇな女なんだけど、裸足なんだよ。」

「意味分かんない!!」

「意味分かんなくていーよ。…今は。」

「え?」

「つーかお前、いつまで俺にカバン持たせる気なんだよ。」

「えっ!?あ…ごめっ…持つ持つ!!」

「ま、別にいいけどな。軽すぎだし。
何にも入ってないだろ?」

「そんなことないもん!!」

「だーから真姫は勉強出来ねぇんだよ。」

「もーっ!!ほっといて!!」

「はいはい。」



…瞬が分かんない。
何よ、『裸足のシンデレラ』って。
シンデレラはガラスの靴がないと幸せになれないんだよ?
大体…シンデレラは裸足じゃないし。


瞬の言った言葉の意味が全然つかめなくて、あたしは少しだけ、どこか焦りにも似た気持ちを抱えてた。
好きな人がいるってことを肯定した瞬に…
少しだけ、ホントにほんの少しだけだけど…
胸がざわついて、軋んだ。



< 20 / 107 >

この作品をシェア

pagetop