裸足のシンデレラ
* * *


「あー…ムカつく!!今すぐ何かを殴りてぇ!!」

「あたしを殴るのだけは止めてね。」

「お前を殴ったことなんて今まで一度もねぇよ。」

「そうー?あたし、毎日のようにぼかすか叩かれてるけど…。」

「かるーくだろ、かるーく。んなもん適当に流せよな。」

「っていうか、なんで瞬がそんなに怒るのよ?」

「あいつが嫌いだから。」

「瞬が三橋くんを嫌いなのは知ってるけど、嫌いだから怒るっておかしくない?
いつもの瞬なら嫌いなら無視するのに…。」

「あいつは…嫌いだけじゃ収まらねぇもん。」

「どういうこと?」

「あいつは、お前を傷付けた。」

「な…なにそれ…。」

「…もーサボろうぜ。
だから泣けよ。朝からずっとんな顔してんだぞ、お前。」

「え…?」

「俺しかいねぇし、泣いていいぞ。真姫に我慢、似合わねぇもん。」


…思いがけない瞬の優しい言葉に涙が一筋零れた。
それが引き金となって、あたしの涙腺は爆発して止まることを忘れてしまったかのように、止めどなく涙を落とし続けた。

瞬の手があたしの頭を少しだけポンポンと軽く撫でてくれる。
それが不思議なくらい安心出来て、少しずつ涙が収まっていくのが分かる。



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