裸足のシンデレラ
「…あり…がと…瞬。」

「ん?」

「あたしが泣きそうだって分かってたから…こうして屋上に連れてきてくれたんでしょ?」

「…俺がサボりたかっただけ。」

「あっそ。」


…そんなの嘘。
あたしの目を見て言わないってことは嘘、だもん。
瞬の分かりやすい嘘に、思わず笑みが零れる。


「んだよ…さっきまで泣いてると思えば今度は笑うわけ?」

「だって…瞬、嘘吐くのヘタなんだもん。」

「んなのお前の方が、だろ?」

「あたしは上手く嘘吐けますー!!」

「どこがだよ?三橋、ぜってぇお前の気持ちに気付いてたと思うぞ?」

「えぇー!?それはないっ!!」

「あるある。つーかお前、分かりやすすぎんだろ。」

「なっ…そんなことないもん!!」


今になっては…三橋くんがあたしの気持ちに気付いていようが気付いていまいが関係ない。
だってもう…この想いは届くこともなく消えていくしかないものだから。


「王子様はシンデレラと…。
ホントに絵本の世界のまんまになっちゃったね…。」


あたしはそう呟いた。




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