裸足のシンデレラ
「あぁ?なんだって?」

「…シンデレラの幸せな未来を…あたしには壊せません。」

「はぁ!?お前何言ってんの?」

「…あなたが使った魔法を無駄にはしたくないんです。」

「俺の魔法?」


…口から自然と紡ぎだされる言葉に自分が一番驚いた。
全部アドリブだけど、不思議と動揺なんかしてない。
あたしは瞬の目を真っすぐ見つめた。


「魔法使いさんは…ずっと苦しんでいたシンデレラに希望を与えるためにやってきた。
あなたの魔法は、すごく素敵です。
その魔法で幸せを掴もうとしているシンデレラの邪魔は…あたしには出来ない。」

「いいのか?王子をシンデレラに取られちまっても。」

「…明日素直に笑えるかどうかは分かりません。
でも、いつかは祝福したいと思っています。」

「嘘じゃねぇだろうな?」

「嘘じゃないです。
…確かに悲しいけど…、それでもあたしは…いつかきっと、必ず『おめでとう』って言います。二人に。」

「つってもまだあの二人くっついてねぇんだけどな…。」

「そ…そうだった!!」


そ…そうだよ!!瞬が無理矢理あたしの腕を引っ張って舞台にいきなり立たせたからこんなことに…。
今、シンデレラは魔法が解けてる真っ最中だっていうのに…。



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