裸足のシンデレラ
「言わなくていいのか?」

「え?」

「あいつに。気持ち伝えなくて、お前は大丈夫?」

「ど…どういうこと?」

「あ…いや…お前はちゃんと吹っ切れるのかなって思っただけ。」

「…そういうことかぁ…。
でも…大丈夫だよ。瞬の魔法の言葉のおかげで。」

「魔法の言葉?」

「…ちょっと言葉遣いは悪いけど、瞬はやっぱり魔法使いだよ。
瞬の魔法の言葉であたし、ちゃんと分かったから。」

「…何が分かったんだ?」

「『シンデレラが12時の鐘が鳴り終わる前に王子様のもとを去った理由。』」

「理由…。」

「それとね…。」


もう一つ分かったことがある。
それは…


「あたしが…『王子様』を本気で好きじゃなかった…ってこと。」

「え…?」

「本気で好きなら…たとえ裸足でも、追い掛けるはずだもん。
1回フラれたぐらいであんな風に割り切れちゃうのは…所詮その程度の気持ちだったってこと。
…またフラれる怖さが、『好き』の気持ちを上回った。
それって好きじゃないんだと思う。多分…だけど。」


…言葉がめちゃめちゃなのは分かってる。
でも、瞬に聞いてほしかった。
なんでかは分かんないけど。



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