裸足のシンデレラ
「俺、余計なことしたか?」

「え?」

「…劇のアドリブ。」

「あ…。」


…余計なこと、なんだろうか?
どうしても、あたしにはそんな風には思えない。


「…余計なことなんかじゃないよ。」


気がつくとそう口にしていた。


「そっか。」

「少し…気持ちの整理ができた気がする…。」

「…ならいい。ヘンなこと言って悪ぃ。」

「ううん。へーき。」


…なんなんだろう。
この距離が、この空間が、あたしたちの間に流れる空気が…なんだかいつもと少し違う。
そんな気がする。



…波が音を立ててあたしたちの方に寄せてきたと思えばすぐに海に戻っていく。



「瞬。」


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