裸足のシンデレラ
…しかし、これが恋のなせる技なのだろうと思う。

最近の真姫は一段と可愛くなった。
元々くりくりとした丸い目、そして人懐っこい笑顔、天真爛漫な性格だ。
少し鈍いところだって可愛く映る。
恋心を自覚してからというもの、彼女の可愛さには一段と磨きがかかっている。
あとはそれを言えばいいだけなのに。
見ているこっちとしてはじれったくて仕方がない。


「『恋』の力は偉大ね、真姫。」

「へ?」

「里穂…お前の口から恋とか…頭ぶった?」

「失礼ね。
最近の真姫が一段と可愛くなったのは恋のなせる技なんだろうなって考えていただけよ。」

「えぇ!?可愛くなんてなってないよ!!いつもどーり!!普通だから!!」

「そうかしら?」


…無自覚なのはお互い様じゃない?
心の中でそう呟く。


「あ、里穂、今日は塾だよね?」

「ええ。」

「じゃあ一緒に帰れないね…。」

「俺がいるじゃねーか。」

「瞬は黙ってて!!」

「…ったく素直じゃねーんだから。」

「本当に。」

「里穂まで瞬の味方ー?」

「私はあなたたちの幸せを願ってるのよ。」


…これはとても素直な気持ちだ。


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