裸足のシンデレラ
「あたしは里穂に彼氏ができてほしいけどなー…。
誰かいないの?そういう人!!」

「…いないわね。」

「今の間、なに?」

「考えてみただけよ、周りにいる男を。
でも該当者ナシよ。」

「塾にはいないの?他の学校のイケメンとか。」

「里穂ってイケメンが好きなのか?」

「…別に顔で選んだりはしないわよ。
でも…そうね…本当に何もないわ。
そもそもドキドキとかそういう類の感情を知らないもの。」

「「うわ…里穂っぽい。」」


…どういう意味かしら、それ。
聞いてやりたかったけれど、話がややこしくなりそうだから遠慮する。
ハモってしまうほどに息の合った二人なのにくっつかないのは、もう真姫の意地でしかないと思う。


「私のことなんてどうでもいいわよ。別に必要でもないし。
とにかく当面はあなたたち自身のことを考えなさい。」

「だってよ、真姫。」

「…知らなーい。」

「てめぇ…。」



…やれやれ。
あとはキッカケだけなんだけど。
もうベタな展開でいいから瞬が強引にいけばいいのに。
そんなことを思いながら、私は窓の外をぼーっと眺めた。
…今日も一日が始まる。



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