裸足のシンデレラ
「あ、もしかして…。」

「うちの犬なんです!!その子、ホントに勝手にどこか行っちゃう子で…。
見つけてくださってありがとうございます!!」

「いいえ。
人懐っこくて本当に可愛いですね。」

「そうなんですけど…脱走癖さえなければ…。」

「楽しい時間をありがとうございました。」

「いえっ…彼氏さんとのデートを邪魔してしまってすみませんっ!!
本当にありがとうございました!!」


メイをそっと抱きかかえると、一目散に去っていた飼い主。
…否定する間もなかった。
彼は私の彼氏ではない、そしてこれもデートではない、と。


「俺、彼氏に見えたんかなー?」

「…そうかもしれないわね。否定したかったけど。」

「否定すんなよー。」

「あなただって私に恋愛感情なんてものはないでしょ?
被写体として最良だと判断しただけ。違う?」

「…違う。
俺、恋愛感情あるよ、お前に。」

「え…?」


…彼の言葉が上手く飲み込めない。


カシャッ…


「え?」

「そういう表情も欲しかった。」


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