願い事


「俺、春夜。横山春夜(ヨコヤマシュンヤ)って言うんだ」


その子はそう言った


「春夜...君...?」


「春夜でいーよ♪」


「その...ショックって...何の...?」


「稔ちゃんがアイツを振ったんでしょ?アイツ、泣いてたよ」


「はぁ...」


やっぱ...泣いたよね...


うちの前でも泣いてたし...


「アイツからよく稔ちゃんの話、聞いてたんだ。超可愛いとか。だから俺、1回会ってみたいって言ったらまじでキレやがって」


「...キレたの...?」


「うん。アイツは俺のだってまじで言いやがって。けど俺には勿体無いって。稔はもっといい奴と付き合うべきだって言ってた。だから俺、言ったんだ。そう思うなら別れればいいじゃんって」


言っちゃいましたか...


「そしたらそうだよなって言って笑ってた。無理に笑ったんだろうと思うけど」


「...っ」


涙を我慢するのがツラかった


「アイツに彼女出来たって本当?」


「あぁ、うん。超可愛い奴だよ」


「そっか...」


事実なんだ...









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