願い事


「...?稔?」


「うち、アンタのこと本当に好きだった。冷たい態度ばっかで多分不安がらせてただろうけど...でもすごい嬉しかった。ごめんね、今更で。けど、言いたかった。それだけ。じゃあね!!」


「ちょっ!?」


嘉穂の腕を掴んで橋を渡る


もう忘れる


もう智城のこと、忘れてやる


「稔、いいの?」


「いい。もう十分」


もういいの、本当に


「稔ッ!!!」


後ろから智城が追いかけて来た


「...なに?」


きっと冷たくすれば諦めてくれる


きっと智城は、うちじゃないほうがいいんだ...


「俺...忘れたことなんかなかった...稔のこと...ずっと好きだった...」


「...だから?うちは違う。彼氏は居ないけど...好きな人は居るから」


「稔、もうやめなよ」


...嘉穂...?


嘉穂が初めて真っ直ぐうちを見た気がする


やめる?


何を?












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