言葉~ことのは~【短編】
私は煙草を雪に押し付けて火を消した。





たった今、気がついた。




今まで頭の中に浮かんできたあの文字は、今まで心の中に貯めていた本当に伝えたかった言葉ではなかったのか。



私はあの文字を読めなかったのではない。


読むことを自分から拒んできたのだ。


私はその言葉からずっと逃げてきた。



だからその言葉は私の頭の中で増殖し、鉛のように重くのしかかってきたのだ。  
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