狼かける吸血鬼<短>
『丁度…俺ぐらいの…、年齢になると、次第に栄養に出来なくなる…』
笹木遥は苦しそうに続ける。
『そこで、お前ら狼の半獣が……必要なんだ』
「へ…?」
今の流れでどうやってそういう事に?
よく分からないが、黙って聞く事に。
『理由は分かんねえけど…、お前等の血は、俺達のこの侵食を止める事が出来る…』
「狼…だけなの?」
『らしいな…。他の血をどんなに飲んだって止まらなかったコレが…、お前等の血を飲んだ瞬間止まったんだと……』
そんな話、聞いた事も無かった。
笹木遥のいう大好物は、そういう意味だったんだ。
『う…、もうそろそろ限界…、ゲホッゲホッ』
口を押さえて再び床に座り込んでしまう笹木遥。
この状況を救えるのは、
狼の半獣である私だけ。
それなら、
「助けて欲しい?」
助けてやらない事も無い。
『てめっこの状況で…』
「散々苛められたんだからな!当然だ!
で、助けて欲しいのか?」
今までの仕返しを、血というプレミア付きで、これで許してやるんだ。
寧ろ心の広さを誉めてほしい。
『…………血、吸わせて下さい羽瑠様』
初めて呼ばれた名前は、その途端頭に響いた。