狼かける吸血鬼<短>
『転校生の笹木遥(ササキ ハルカ)君だ』
遅刻にはならなったものの、全力ダッシュの登校は辛い。
私は手でハタハタと自身を扇いでいた。
ホームルームでは、今日から仲間入りするらしい生徒の紹介がされていて。
しかし興味が無い。
男だろうが女だろうが。
『やばくなーい!』
『超当たり〜〜』
それでも、クラスの女子が此れ程に騒ぐので、無い感心も、窓から見つめる景色から首をそらすくらいまでには、生まれた。
どんなもんかと視線を教壇にうつすと……。
そこには、
銀髪がギラギラと目につく髪色に
太陽に縁が無いような肌の白さ
目は鋭く奥から光が漏れだすよう
美しく弧を描いた唇は自身有り気に両端が持ち上がっている
目が離せなくなるような美しさを放つ男の子の姿。
…なんて、美しいんだろうか。
女子が騒いでしまうのも納得がいく。
格好良い、存在に興味を示せない私が、目が離せなくなるくらい。
彼には、人を引き付ける、魅力がある。
……その魅力がまさか、
『笹木君は絶滅危険度S級の、
吸血鬼のハーフだ』
こういう事だったなんて。