ボーダーライン~君との境界線~
「んじゃ、行こっか?」
友人に借りてきたというクルマに乗り込んだ。
「行きたいトコある?・・・里桜さん。」
『里桜さん』が妙な間でつけ足された。
「笑。 里桜でいいよ。アメリカでは“さん”なんてつけないんでしょ?」
「まぁそーだけど。」
「郷に入れば郷に従う。」
「何それ。」
レイがLAの日差しを遮断するような、大きなサングラスをかけた。
そのかけ方がかっこ良くて思わず見とれる。
「ん?どうかした?」
「あ、ううん。 サンタモニカって遠い?」
「1時間もかかんねーけど?」
「じゃぁ、サンタモニカのビーチには行ってみたい。」
「ラジャー!」
カチャっとシートベルトをロックすると、レイはアクセルを踏み込んだ。