ボーダーライン~君との境界線~
たぶんエミネムだったと思う。
ものすごい上手い鼻歌を歌いながら、レイはハンドルを握る。
時折、私が通う予定の学校を教えてくれたり、美味しいホットドッグのお店を教えてくれたり、そんな時だけその鼻歌が止んだ。
それ以外は、昨夜とはまるで別人のように終始ご機嫌のレイがいた。
「歌・・・好きなんだ?」
「まぁね。」
「里桜は?歌ったりすんの好きじゃねーの?」
「あー・・・どうかな。聴いてる方が好きかも。」
「どんな曲?」
「うーん、普通のポップスとか。」
「洋楽?」
「ううん、日本語の曲。洋楽は歌詞がわかんないし。」
「勉強になるから聴いてみるといいよ。」
そう言い放つと、カーステから流れる曲をまた口ずさんだ。
すごくマイペース。