ボーダーライン~君との境界線~
「日本でも英語は勉強してたの?」
視線を私に向けずに、ハンドルを握ったままレイが言う。
「授業で習った程度。」
「そっか。けどこんな俺でも話せるようなるしさ、だいたい英語なんて話せなくっても生活には困らねーんだけど。」
「え?!そんな事ないでしょぉ?」
「あるある。要するに最後はハートだし。」
と言いながら、自分の胸元をトントンと叩いた。
やわらかなコットンのニットから、微かに甘い香りが私の鼻をかすめた。
「レイ・・・。」
「ん?」
「私には慣れた?」
「あ?なに?」
「いや・・・人見知りすごいって聞いてたんだけど、なんていうか・・・こんな風に話したりしてくれてるしさ。」
「変な事を言うね~里桜って。(笑)」
フッって微笑んだ横顔にかかった茶色い髪が、LAの陽射しをキラキラと反射させていた。