ボーダーライン~君との境界線~
「あ・・・海・・・。」
急に目の前に広がった視界。
季節外れとはいえ、賑わった海岸通り。
私たちは、クルマを停めて桟橋の近くまで歩きだした。
どこからか潮の香りに混ざって、キャラメルポップコーンの甘い香りが漂う。
!!!
ふいに手を繋がれて、思わず立ち止まる。
「ここはアメリカなの。里桜みたいにボーっとしてるとあぶねーから。」
「あ・・・うん。」
華奢な身体なのに、肉厚のある手のひらが私の手を包んだ。
さっきよりも距離の近くなったレイからは、やっぱり甘い香りが微かに匂う。
「ポップコーン欲しいの?」
「ううん、欲しくない。」
「もしかしてクルマに酔った?」
「ううん・・・大丈夫。」
『里桜もすぐに好きになるよ。』
脳裏で有希の言葉がリフレインした。
好きになる。
どんな風に?
LAに着てまだ2日。
私は自分の中に渦巻く気持ちに、不安を感じてた。