ボーダーライン~君との境界線~
第3章 -ズルイ女-
LAに来て、早2週間が過ぎた。
語学学校で顔見知りも出来た。
レイは近くのカフェでアルバイトをしている。
朝から働く日もあれば、夜遅くまでのシフトの日もあるらしい。
時々、夕方に帰って来た時には一緒に買い物に出かけたりもした。
「ねぇ、昨日かっこいい人と見かけたよ?彼氏?」
そんな風に言われたりもした。
それもそうだろう。
私たちが外を歩く時は、いつもレイが手を引いている。
傍から見れば、恋人に見えるのも否めなかった。
語学学校から帰宅したある日、
リビングでディックが一人TVを見ていた。
ディックは無口でシャイだ。
そして日本語がほとんど話せない。
だから少し苦手。
簡単に挨拶をして部屋のドアノブに手をかけた時だった。