世界が終わる前に
そんな中、中学生も二年生にあがってすぐの頃。
ちょうどその頃、成績が伸び悩んでいた私に、ボスは天使ならぬ悪魔の微笑みを浮かべながら、毎度の如くこう言うのだった――。
『――いい、奈緒?社会に必要な学歴っていうのはね、高校からが重要なのよ。今からきちんと勉強していい高校に行っておけば、大学だってそれなりの所を狙えるわ。頑張っていい大学に行けば“就職氷河期”なんて怖くないんだから。将来は安定よ。ね?大丈夫。奈緒ならきっとやれるわ』
そんな、目眩を起こさせるような天使ならぬ悪魔の囁きに、私の受験ノイローゼが悪化したのは言うまでもないだろう。
とにもかくにも我が家の“教育理念”は厳しく、絶対的に揺るがないものなのである。
しかし。
そんな“教育ママ”と呼ばれる母に比べて、父は正反対に仕事ばかりで家族の問題に関しては、一切のノータッチを貫き通している。
言い換えてみれば、それはただ単に子供に対して“無関心”なだけで。