世界が終わる前に
「あ、うん……ありがとう」
「……あたしも最初はね?“あの”漆原黒斗と仲間のヤツらに会えるってなって、普通に嬉しかったし楽しみにしてたの」
由紀ちゃんはポテトとハンバーガーを交互に頬張りながら、溜め息混じりに話しはじめた。
「でも、一昨日あんたと漆原黒斗が抜けてカラオケ行った途端、あの男たちにソッコーでバックれられちゃってさ、」
「え?バックれ……?」
何それ、って聞いたけど、由紀ちゃんには聞こえなかったのか、聞く気はなかったらしく、由紀ちゃんは私なんて気にもしないって感じで話し続けた。
「金払わされるわ、メアドもケー番もゲットし損なうわで、とにかく最悪だったよ」
「……」
「あんたあたしの言ってる意味、ちゃんとわかってる?」
「……な、何となくなら」
「いい?あたしたちが“あんたらのためのお膳立て”に使われたようなもんなのよ」
吐き捨てるようにそう言った由紀ちゃんの表情は、怒ってるのか悲しんでるのかわからなかった。