世界が終わる前に
それからは…――由紀ちゃんが何を言ってるのか、由紀ちゃんと何を話していたのか、もうよくわからなかった。
聞きくなかったかっただけなのかもしれない。
もうそれ以上、彼の事を聞きたくなくて、私は耳を塞いでしまったのかもしれない。
不思議と彼を怖いとは、思わなかった。
同時にそれを聞いたからといって、悲しくもなかった。
私を支配したのは、張り裂けるような胸の苦しさと寂しさ。
それは、お兄ちゃんに対する感情と似ていた。
もしかしたら似てるんじゃなくて、彼を自然とお兄ちゃんと重ね合わせていたのかもしれない。
だから、きっと私は――…
兄と同じように、
彼と私との世界が繋がれないという事が、
酷く寂しかったんだ。