世界が終わる前に
絡んだ糸は解けないままに
私は一体、彼に何を期待していたのだろう。
一体、彼との間にどんな関係を望んでいたのだろう。
彼と私の世界が、交わる事がないなんて端からわかっていたというのに。
人と人との“世界”を繋ぐ架け橋は、雲のように軽く、糸のように細くて、とても脆く壊れやすいものなんだと思う。
その架け橋には『絆』とか『信頼』とか『愛』とか色々たくさんの名前がついていて、それぞれが違う色を持っている。
私は、失ってしまうのが怖かったのかもしれない。
どんなに強く固い架け橋も、いつかは壊れてしまうから。
私は、苦しむ事を恐れる事に苦しんでいたのかもしれない。
目に見えないものは、いつだって失ってから見えるものだから。
だから、全てを諦める事で見えない振りをしていたんだ。
気づかない振りをしていたんだ。
息苦しい世界。
あの頃、必死に藻掻いて、壊れそうなものは壊れる前に壊した。