世界が終わる前に
…――あれから、由紀ちゃんも他の由紀ちゃんの友達とも何も話してないし、関わってない。
律儀にも私は、あの日のお兄ちゃんの“言い付け”を守り、母の多大な期待に応えるべく勉強漬けの毎日を過ごしていた。
特に何事もない私の恋愛話に飽きたのか、あれ程に騒ぎ立てていた麻子ちゃんも、もう今は何も言わなくなっていた。
瀧川中の事や彼や彼の噂についても麻子ちゃんには、もう詳しく聞く気など毛頭なかった。
あの日以来。
彼とは会ってない。
やっぱり私と彼との世界が繋がるだなんて事は、なかった。
お兄ちゃんと私の世界が、もう繋がれないように。
でも、私は、健気にもあの日『またな』と言った彼の言葉を心の何処かで信じていた。
彼と過ごしたあの図書館には塾のない日、毎回と言っていい程に足を運んだし、街中の人波にあるはずのない彼の姿を無意識に探したりもした。