世界が終わる前に
「……へえ」
興味深そうにそう呟いた黒斗くんは何がそんなに面白かったのか、ククッと少し楽しそうに笑った。
そんな黒斗くんの意外な一面を見て、またチロ相手に嫉妬しちゃった私って、やっぱり心が狭いのかもしれない……。
「黒斗くんは、ペットとか飼ってないの?」
「俺?」
「うん」
「飼ってない……つーか、俺ん家マンションだから飼えねェ」
そっか。黒斗くんは、マンションに住んでるんだ。
自分から質問した癖に、そんな質問とは関係ない事を考えてしまった私は、本当に情けないくらい黒斗くんで頭がいっぱいだ。
「あ、そうなんだ」
「まあ、マンションじゃなくても姉貴が動物アレルギー持ってっから、どっちにしろ無理だけどな」
「え、黒斗くん、お姉さんいるんだ?」
「ん?……ああ。まあ、あんま仲は良くねェけど」
一応いる、と。至極興味なさそうに答えた黒斗くんは、徐に胸元から赤と白のパッケージの煙草を取り出し、更にその中の一本をスッと取り出すと、
「吸っていい?」
そう窺うように、こちらを見つめたので「あ、うん」と急いで答えた。