世界が終わる前に


「……へえ」



興味深そうにそう呟いた黒斗くんは何がそんなに面白かったのか、ククッと少し楽しそうに笑った。


そんな黒斗くんの意外な一面を見て、またチロ相手に嫉妬しちゃった私って、やっぱり心が狭いのかもしれない……。



「黒斗くんは、ペットとか飼ってないの?」


「俺?」


「うん」


「飼ってない……つーか、俺ん家マンションだから飼えねェ」



そっか。黒斗くんは、マンションに住んでるんだ。


自分から質問した癖に、そんな質問とは関係ない事を考えてしまった私は、本当に情けないくらい黒斗くんで頭がいっぱいだ。



「あ、そうなんだ」


「まあ、マンションじゃなくても姉貴が動物アレルギー持ってっから、どっちにしろ無理だけどな」


「え、黒斗くん、お姉さんいるんだ?」


「ん?……ああ。まあ、あんま仲は良くねェけど」



一応いる、と。至極興味なさそうに答えた黒斗くんは、徐に胸元から赤と白のパッケージの煙草を取り出し、更にその中の一本をスッと取り出すと、



「吸っていい?」



そう窺うように、こちらを見つめたので「あ、うん」と急いで答えた。


< 139 / 202 >

この作品をシェア

pagetop