世界が終わる前に
なんで嘘なんか吐いちゃったんだろうって。
いつかはバレてしまうのにって。
黒斗くんに嘘を吐いてしまった事が、すごく後ろめたい。
私は、悪い事をしてる。
でも、いるって言えなかった。
狡くて弱くて臆病な私には、言えなかったんだ。
「……へえ」
そう呟いた黒斗くんの表情は見る事が出来なかったけど、心なしか寂しそうな声色だったのは気の所為なんだろうか。
どちらにせよ、もう吐いてしまった嘘を訂正するには遅かった。
それから私は話題を逸らしてしまおうと、違う質問をした。
黒斗くんも特に気にする事なく話してくれて、私と会話をしながらやりかけだったアドレス交換を済ませると、「もう遅ェし、送る」と言って立ち上がった。
だから、返された携帯を通学鞄にしまって、私も慌てて立ち上がった。
吸っていた煙草を近くの灰皿で消した黒斗くんが歩き出したのを合図に、私も黒斗くんの隣を陣取って高さの違う肩を並べながら公園を出た。