世界が終わる前に


…――ねえ、お兄ちゃん。


もっと早くお兄ちゃんとこうなれてたら、と……そう思わずにいられません。



あの頃、諦めてばかりだった弱くて臆病な私を、お兄ちゃんは、どう思いますか?


自分の事ばかりで、お兄ちゃんの苦しみなんて何一つわかっていなかった私を、どう思いますか?




本当の意味で誰かと解り合うって事は、とても難しいんだよね。


家族も友達も恋人も。



でも、お互いを解り合う事は、難しくても……苦しみや悲しみを共に受け入れて、担い合って、それが喜びになって、そうやってお互いがお互いの気持ちを分かち合う事は、出来るよね。




最初から私たちの世界は繋がっていたんだよね。


初めからずっとずっと同じ世界にいたんだよね。


気づかなくってごめんね。
気づけなくってごめんね。




ねえ、お兄ちゃん。


こんなにも愚かな私を、どうか許して下さい――…


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