世界が終わる前に
だから、そんな事にならなくて良かったと心底、思う。
私は長年お兄ちゃんに拒絶される事が、怖かった。
お兄ちゃんと他人のようになっていく現実が、嫌だった。
広がっていく距離が、とても悲しかった。
昔みたいに戻れるよね?
もう……戻れたんだよね?
そう思うと、嬉しくて言いようのない幸福感と少しの照れ臭さが心に残った。
これから――…私の高校受験とお兄ちゃんの大学受験が終わって、二人で一緒に季節外れのアイスを食べに行く時は、あの写真のようなお兄ちゃんのくしゃくしゃな笑顔が見たい。
…――窓から見上げた瞬く一番星に、そんな願いを込めた。