世界が終わる前に


「すみません……私にはよくわからないです」


「そっか、そうよね。でも……これから先きっと奈緒ちゃんも嫌でもわかる時が来るわ。まあ……とにかく若い内は、素直になりなさいって事よ。いい?恋は特に素直にならなきゃダメなんだから」



はい、終わり。と私の両肩を叩いた木下さんは酷く綺麗に微笑んだ。


私なんかよりも大人で経験も豊富な木下さんは、きっと今までにもたくさん恋をしてきたから、そう言えるんだろう。







「素直、か……」



頑張ってみようかな。

そう思った。



素直になるという事は、ほんの少し怖いものだけれど……この恋だけは、黒斗くんの事だけは、諦めてしまいたくないから。

やめられない、恋だから。


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