世界が終わる前に
それから会計を済ませて美容院を後にした私は、近場にあるショッピングモールで溜め込んだお小遣を注ぎ込む事に決め、化粧品と洋服を大量に買い込んだ。
……やっぱり今のダメな自分を磨かなきゃって思ったから。
黒斗くんに見合うような素敵な女の子になれるように。
あっという間にお昼になって大量のショッパーを抱えながら帰宅した時、上着のポケットからタイミングよく携帯の着信音が鳴り響いた。
ポケットから取り出した折り畳み式の携帯を片手で開くと、ディスプレイには【漆原 黒斗】の文字と番号が大きく点滅表示されていて、尋常じゃないくらいに心臓がドクンと激しく脈打った。
一瞬、訳がわからなくて呆然と携帯画面を眺めてしまったけれど、しつこく鳴り続けるそれにハッと意識を取り戻した私は、慌てて震える指先で携帯の受話ボタンを押した。