世界が終わる前に


そもそも偶然休みが一緒だなんてよくよく考えてみれば、やっぱりうますぎる話だと、改めて思う。



「私は、大丈夫だけど……黒斗くん平気なの?」


「……まあ、別に」



確かに中学校は一応義務教育であるわけだし、サボったところで卒業や試験に響く事は到底ないだろう。


だけど……黒斗くんって本当に不思議だと思う。


だって、私に嘘を吐いたって事をすごく反省してるっていうのがヒシヒシと、その表情や眼差しから伝わってくる。


だから、あんな噂が流れるような不良だなんて嘘のように、感じてしまう。


それくらい黒斗くんは、ちゃんと悪い事や良い事――善悪――の区別が出来ている。


しかも、意外に律儀な人なんだなあ…――なんて暢気(のんき)にも思ってしまった私は、本当に単細胞生物だ。



「どうして、サボったの……?」



せめて理由だけでも……と、思って聞いたんだけど、視線を上げた黒斗くんに睨まれてしまった。


……なんで?


< 174 / 202 >

この作品をシェア

pagetop