世界が終わる前に
学ランがこんなにも様になるのは黒斗くん以外、この世にはいないように思える。
そんなふうに思わされるほど、黒斗くんはかっこよくて、私なんかが隣を歩いていいものなのか本気で悩んだ。
ちょうど、その時だった――…
「ああー!クロトじゃん!」
厭に甲高い女の子の声が、黒斗くんの名前を呼んだんだ。
黒斗くんと私は多分ほぼ同時に後ろを振り返った。
そして、そこには――…失礼かもしれないけれど、相田さんたちなんかよりも派手な女の子が大きなつけまつげでバサバサの目を真ん丸くしながら、こちらを見ていた。
派手な濃い化粧に特徴的なピンクメッシュの入った髪の毛は、可哀相なくらい痛みきっている。
「こんなとこで何やってんの!?」
彼女は嬉しそうに満面の笑顔を浮かべた。