世界が終わる前に


「……わ、私は……醜い女なの、」


「え?」


「黒斗くんが……他の女の子の名前を呼ぶのが嫌で、」


「……は?」


「他の女の子に触るのも嫌で、」


「おい?」


「香りにまで嫉妬しちゃうの、」


「……」


「本当に醜いの。……だからこんな私を見ないで欲しい」



吐き出す言葉は、意に反して酷く震えてしまっていた。


だけど、何を言っちゃったんだろうってすぐに後悔した。


だって、こんなの告白したも同然じゃないんだろうか。


現に黒斗くんは、無表情のまま固まってしまっている。

それが、驚きによるものなのか、よくわからないけど、どちらにせよ一度発してしまった言葉を取り戻す事は出来ない。


< 196 / 202 >

この作品をシェア

pagetop