世界が終わる前に


「……は?」



思わず、そんな間の抜けた馬鹿にしたような声が出てしまったのは、何もいきなり話し掛けられたから驚いたんじゃなくて。


こそこそと声を潜めながら話し掛けてきたのが、予想外の人物…――“相田さん”だったからな訳で。


これがもし、仲の良い同じグループの子だったら、私は喜んでそれに答えて他愛のない話に華を咲かせていたと思う。


そして間違いなくあの可愛い口から吐き出されるであろう、長たらしい話をする教頭の悪口に賛同していただろう。



だって、自慢ではないけれど……相田さんとは同じクラスでも、話した事なんてない。


ただの一度も、ない。



何よりも、相田さんとは所属してるグループ自体が全く違うのだから、それは当たり前と言えば当たり前で。


(ちなみに相田さんの所属するグループは、クラスでも派手なギャルグループで、私は比較的地味なガリ勉ばかりのグループだが。)


だから、普段の生活の中で私たちが関わり合う事なんてのは、まずないのだ。


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