世界が終わる前に
しかし、思い描いていたイメージよりも良い人そうな印象を見事この私に与えた相田さんに、呑気な事にも深く感心していた私は、次の相田さんの台詞に再び身を固める事となるのだった――…
「…――それでさ、後で朝吹さんに話したい事あるんだけど。いい?」
「……は、なし?」
私の不安混じりの小さな声が、体育館全域に木霊したように思うのは、気の所為だろうか。
体育館の熱気の熱さの所為じゃない汗が一筋、たらりと蟀谷(こめかみ)を伝うのを感じた。
この手の派手なギャルグループの女子が、私みたいな地味グループの女子に持ち掛けてくる“話”というのは、一体何なのだろう……。
考えられるのは、喝上げか、はたまた脅迫か……どちらにしても恐ろしい。
だって、普段は関わる事のない相田さんと話す事なんて、ない。
一体、私は何をされるんだろう。