世界が終わる前に


担任教師の「じゃあ、解散」という何とも気の抜けた一言を合図に、クラス中が一気に騒がしくなった。


帰り支度をする者や放課後の予定を立てる者、みんなまちまちで。


騒然としはじめたクラスの五月蠅(うるさ)い程のざわめきに耳を傾けながら、私は独りぽつん、と窓際の席に座ったまま動けずにいた。


同じグループの子に帰りの挨拶を交わす事もなく、むしろ交わすどころか挨拶されててもシカトしちゃってたかもしれない。


私の人生最大ともいえる、究極の緊張と不安で、全く覚えていない。



でも、これが今日を限りに最後になるかもしれないけれど、そんな事に構ってる程の余裕など私には微塵も無かった。



そして――…




「…――あー、いたいた。朝吹さん、ちょいあっち一緒に来てくんない?」



悪魔の囁きならぬ相田さん独特の少しハスキーな声が、真横から聞こえてきた事で、私の緊張と不安はピークを迎えた。


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