世界が終わる前に
その瞬間、情けなくもビクッと肩が大袈裟に震えてしまったのは、仕方がない事だと思う。
……だって呼び出された事なんて一度もないんだもん!
けれど、そんな事は口が裂けても言えない(むしろ言うつもりなどない)私は従うしかなく。
勢いよく椅子から立ち上がって「は、はいっ!」と吃(ども)りながらに答えたが、残念ながら彼女には聞こえていなかったらしく。(私には聞く気すらなかったように思うが。)
茶髪の少し痛んだ巻き髪を左右にふわりと揺らした相田さんは、私なんか全然気にもしてないって素振りで、くるりとクールに踵を返すと、足早にスタスタと教室から出ていってしまった。
相田さんの背中が見えなくなってからハッと我に返った私は、慌てて手元にあった通学鞄を引っ掴むと、先に廊下を歩いていた彼女の背中を小走りで追いかけた。